金属加工の初心者向け解説本 吉村泰治さんにきいてみる

『原材料から金属製品ができるまで 図解よくわかる金属加工』(吉村泰治著、日刊工業新聞社)2021年9月30日

▼紹介していただく本
『原材料から金属製品ができるまで 図解よくわかる金属加工』(吉村泰治著、日刊工業新聞社)2021年9月30日

■書いた人にきいてみる

——この本はどんな本なのでしょうか?

【吉村さん】
 「原材料から金属製品まで」幅広い内容で金属加工について解説している本です。

 人類がはじめて金属を手にしたのは紀元前7000年から8000年頃と推定されています。その頃は、まだ金属を加工する術はなかったのですが、紀元前5000年頃からそれら金属を叩いたり、削ったりして、目的の形を作るようになったと言われています。その後鋳造や塑性加工、接合などといった現代におこなわれている金属加工へと進化し、現代における金属加工の基礎が確立したと言われています。

 本書ではこのような歴史のある金属加工について全8章で解説しました。

——読者はどのような方を想定しているのでしょうか?

対象読者は、初めて金属加工について学ぼうとしている方です。

——初心者向けなんですね。

はい、具体的には、高校生や高等専門学校生、大学生、金属を取り扱う素材・加工メーカーの技術者や商社担当者、更には、金属をはじめとする材料科学に興味を持たれている一般の方がターゲットとなっています。

——本書執筆のきっかけは何でしたか? 

 金属に関する領域は、身近な反面、その技術は専門的で、一般消費者が身近に平易に理解する機会が少ないように感じたので、一般消費者が金属を身近に平易に理解する機会を提供するという観点で、執筆を考えました。

——本書の各章はどのような内容となっているのでしょうか。

第1章:金属材料と金属加工の概論
第2章:金属材料の素材をつくる1次加工
第3章:素材に形状を付与して金属製品へと仕上げる金属加工
第4章:素材に機能を付与して金属製品へと仕上げる金属加工
第5章:金属加工を実現させる金型
第6章:金属加工を実現させる設備
第7章:金属加工を下支えする測定・評価技術
第8章では金属加工のこれから

となっています。特に、第8章では今後期待される3Dプリンティングに代表される金属積層造形やIoT技術、環境対応についても言及しました。

——本書の注目ポイントはどこですか?

メーカーに勤務する金属材料および金属加工を担当する技術者が、開発・ものづくりの実経験を活かして金属加工に関して平易にわかりやすく解説しているところです。

具体的には、従来までの金属加工に関する書籍の内容に留まらず、表面処理(第4章)や金型(第5章)、金属加工設備(第6章)、測定・評価技術(第7章)など幅広く網羅した内容としました。また、産業への応用という観点から、金属加工方法同士の比較や、金属加工に欠かせない金属材料の特性との紐づけを行うように務めました。更には、各分野の歴史、市場規模についても数値で示しました。

——吉村さんの今後の活動予定について教えてください。

技術士・サイエンスライター・サイエンスコミュニケーターとして、金属に関する技術を分かり易く、一般社会に伝える活動を10年間実施してきました (講演・執筆・SNS・サイエンスカフェなど)。分かり易く伝える工夫として、家の中にある携帯電話、ボールペン、硬貨、ハサミ、やかんなどを例にあげ、どんな金属がどのように使われているのか?一般の人々に分かり易い色や重さなどに結びつけられることが有効と考えています。

今後も活動を通じて、身の回りに溢れる金属に興味を持って、より身近に感じてもらおう、金属に関する知的刺激を一般社会に与え、社会の活性化を実現しよう、と考えています。

——最近読んで面白かった本を教えてください。

日刊工業新聞社の「トコトンシリーズ」です。幅広い技術領域に関するラインナップが揃っており、それぞれが平易に重要な事項が解説されているので、初心者にとって有効な内容です。

—ありがとうございました!

▼著者 吉村泰治さんプロフィール
https://twitter.com/ysciencelab
1968年生まれ
1994年3月 芝浦工業大学大学院工学研究科金属工学専攻 修了
1994年4月 YKK㈱ 入社
2004年9月 東北大学工学研究課博士後期課程材料物性学専攻 修了
2016年4月 YKK㈱ 執行役員 工機技術本部 基盤技術開発部 部長
2021年4月 YKK㈱ 専門役員 
博士(工学)、技術士(金属部門)

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